帆船とガレー船
帆船の歴史は古く、紀元前4000年以前のエジプトの陶器の挿し絵に「風を受ける帆を備えた船」の存在を確認することができます。ヨーロッパの帆船の歴史を追って行くと、その源流はバイキング船を起源とする「北方船」とローマ商船を起源とする「南方船」の二つの系統があります。北方船と南方船はそれぞれ独自の進化を続けてきました。
北海やバルト海で使われた北方船の特徴は、船首と船尾が同じ形にシェイプされた両頭型の船型と、船体の骨格に外板を重ね合わせるように取り付ける鎧張りの構造にあります。ハンザ同盟都市間の交易に活躍したコグがこの典型例です。
それに対し地中海に見られる南方船は船首と船尾が明確に区別されていて、船首は細くシェイプされ、船尾は鈍角に丸めてあるか切り落としたような形状になっています。また、南方系のもうひとつの特徴にラティーンセイルと呼ばれる三角形の縦帆があります。この三角帆はもともとはイスラム商人のダウ船に使われていたものが、地中海でのイスラム教徒との交易によってヨーロッパに伝わっていったものと考えられます。これらの代表例として丸船やキャラベルといった船種があります。
レコンキスタによってジブラルタル海峡をヨーロッパ船が自由に通行できるようになると、
地中海と北大西洋の諸都市との交易が盛んになっていきます。北方船と南方船がお互いを往来するなかでその設計思想も融合していき、キャラックやガレオンといった全装帆船が登場します。
<帆船の歴史>
<帆の種類について>
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