帆についての解説

 歴史上、まず四角形の横帆が発明され、それからずっと後になって三角形の縦帆が発明されました。発明したのは紅海とインドで貿易をしていたアラビア人で、それが地中海のヨーロッパ人にも伝わります。三角形の帆は同じ長さの帆桁から吊るされた四角帆の半分しか面積がとれませんので、理論上、推進力も半分しかないのですが、にもかかわらず三角形の帆が後世に多用されたのは、三角形の帆が横風や向かい風を前方への推進力に変える力を持っていたからです。後日、四角形の帆を横帆、三角形の帆を縦帆と呼ぶようになります。


縦帆船               横帆船
 

 縦帆は帆の角度を調節することで、帆船は真逆風から±30度の範囲の外(つまり全方位360度のうち300度まで)であればどこへでも進むことができました。横帆でもある程度の逆風には対応できますが、縦帆ほど角度がとれません。

 完全に向かい風のときはどうするかというと、向かい風方向に対して斜め30度で船を進め、適当なところで舵を返して向かい風に−30度でと、ジグザグに航路をとることで船を進めることができます。これだと時間も手間も技術もいりますが、これでもオールで焦がせるよりはマシだったようです。(※大航海時代Onlineでは逆風だとガレーのほうが速度が出ます)

 後年になり船が大型化されるに従って推力の足らない三角形の縦帆はメインマストには貼られなくなり、スパンカー、ジブ、ステイスルといった補助帆で縦帆の役割をさせるようになります。一方、小型船は今日のヨットに見られるようにマストには縦帆だけを張るようになります。
なお、地中海のガレー船には末期まで三角帆が張られていました。

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帆の名称について
 最も原始的な帆は1本マストに取り付けられた1枚の巨大な布だったのですが、時代が進むとともに帆の数が増えていき、それに従って取り付ける位置や形状によって個別の名称がつけられるようになります。そして18世紀にクリッパーが登場した頃には主帆・補助帆含めてなんと30種類以上もの帆が複雑に張りめぐらされるようになりました。


フォアスル・メインスル・ミズンスル

 一見複雑に見える帆の種類ですが、それらの名称はたいてい「帆が位置する場所」+「sail」で表現されます。
 船体にそびえ立つ3本のマストのうち、真中の最も大きなメインマストにあればメインスル(メインセイル)、メインマストの前のフォアマストならフォアスル(フォアセイル)、メインマストの後ろのミズンマストはミズンスル(ミズンセイル)です。
 もし4本マストの船であれば前から順番にフォアスル、メインスル、ミズンスル、アフタミズンスル、と言います。4本マストガレオンの頃は「ミズンマスト2本」って感覚だったのでしょうか。
全装帆船以降はちゃんと名前がついて、4番目の帆をジガーと呼ぶようになっていきます。
 15世紀に登場したキャラベル船のころぐらいまでは、1本のマストに1枚の帆が貼られていました。その後、船が大型化して重くなった船を動かすために多くの風力が必要になります。帆の面積を増やすため、マストは上へと継ぎ足され、従来の帆の上に積み重なるようにして第2、第3の帆が張られます。


トップスル

 トップスルは下から数えて2番目の帆のことです。 
 「トップ」とはもともとマストの先端(トップ)に取り付けられた見張り台のことで、この見張り台立てられた旗竿に張られた小さな補助帆が起源と言われています。トップの先に継ぎ足されたマストをトップマストと呼び、ここに張られた帆がトップスルです。
 トップスルもマストの位置によってフォアトップスル、メイントップスル、ミズントップスルと呼ばれます。


トップゲルンスル

 トップゲルンスルは下から数えて3番目の帆です。 
 トップマストの先にさらにトップゲルンマストを継ぎ足し、ここに帆を張ったものです。ガレオン船が登場するころにトップゲルンスルが張られるようになります。「トゲルンスル」も同じトップゲルンスルのことを指します。
 マストに位置によってフォア、メイン、ミズンと区別されます。


ロイヤルスル・スカイスル

 ロイヤルスル(ロイヤルトップゲルンスル)は下から数えて4番目の帆、スカイスルは5番目の帆です。
 下から4番目をアッパートップゲルンスル(3番目をロアートップゲルンスル)とし、5番目をロイヤルスルと呼ぶこともあるようですがよく解りません。
 ロイヤルスルやスカイスルは18世紀以降、戦列艦やティークリッパーの登場とともに見受けられるようになります。
 これもマストに位置によってフォア、メイン、ミズンと区別されます。

 


ステイスル

 ステイというのはマストを固定するための頑丈なロープです。船底から甲板まで貫いて空に伸びたマストは、それだけでは帆の風圧を支えきれないので、マスト先端から船体に何本かロープを張り、ぐらぐらしないように固定していたのです。
 ここに三角形の帆を張って縦帆がわりにしたのがステイスルです。
 メインマストから張られた固定ロープをメインステイと呼び、従って帆の名称もメインステイスルとなります。フォアマストならフォアステイスル、ミズンマストならミズンステイスルとなります。
 ステイスルを何枚も張る場合、主帆と同じようにトップマストからロープが伸びていればトップステイスル、トップゲルンマストから伸びていればトップゲルンステイスルと呼びます。



ジブスル

 フォアマストからスプリットに張られたロープをジブといい、ここに張られた帆をジブスルといいます。スプリットのいちばん根元に張られるのをインナージブ、その次がアウタージブ、その上がフライングジブです。  
 ジブスルはフォアステイスルと混ざっちゃう感じですが役割はほとんど一緒かもしれません。




スプリットスル・スパンカー

 スプリットは船首の舳先から斜めにつき出した帆柱で、ここに張った帆がスプリットスルです。ガレオンはここに帆桁を渡して四角帆を下げます。ピンネースやフリュートなどのオランダ船ではスプリットに垂直にマスト(スプリットトップマスト)を立て、帆桁を渡して四角帆を取り付けていました。
 ただしこれらはあまり役に立たなかったようで、後のジブスルに取って代わられます。
なお「スプリットは推進力としてよりも、船首を下に押し下げる役割を果たしていた」という説もあります。これによってガレオン船の重い船尾楼とのバランスをとっていたのだとか。

 スパンカーは、ミズンマストなど最後尾のマストに張られる縦帆の一種です。スパンカー用に小さなマストが立てられることもあります。形状は台形のような四角い帆なのですが、もともとは三角帆の一部を切り落とす形で進化した形状です。スパンカーは空気抵抗を利用した舵のように使われます。




 
2004
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