復元帆船ヴィクトリア号乗船の記録
 2005年の春〜夏にかけて、愛知万博スペイン館の展示物として、復元されたヴィクトリア号が日本に来航しました。
 いまから500年前、マゼラン提督麾下の4隻の艦隊は香料諸島を目指して世界一周を試みたのですが、そのうち唯一スペインに帰り着いたのがヴィクトリア号でした。既にマゼラン提督は太平洋の小島で死に、生き残った乗組員もわずか16名という壮絶な航海で、冒険史上に残した成果はともかくとして、香辛料調達ルートの開拓という目的からするとほとんど失敗といっていいでしょう。

 それを、21世紀の今日になって、同じ材料で帆船を復元し、同じルートをたどって帆走し、食生活も当時を再現しようという恐ろしい企画をいったい誰が考えたのでしょうか。
  幸いにしてヴィクトリア号はいまのところ1人の死人も出さず航海を続けています。勇敢なクルーたちと共にジパングに来航したこの黒くてずんぐりした小型キャラック船に乗船する機会がありましたので、その写真を掲載したいと思います。



とりあえず全体像です。
マストはたたまれ、帆桁はおろされています。
船の手前で日傘を差したご婦人が記念写真を撮影していますが、人物との対比で船の小ささがわかるかと思います。
それにしても見物客が少ない。。



船首部分。
スプリットスルが見えます。
手前で翻ってるのはアラゴンとかカスティリアとかの家紋合わせた旗なのかな。


もうすこし接近してみました。
船尾楼の上でクルーがくつろいでいます。
きっとヒワイな冗談を飛ばしながらさいころ賭博でもしているのでしょう。
船内に人物が写り込んでいると船の小ささがより際立ちます。




《船首部分》

小型船首楼です。
櫓の上には左舷のハシゴで上がることができます。
船体のほとんどの部分は木材で組み上げられています。手すり等にも太く固い材木が用いられ、小型でも頑健な印象を受けました。



船全体は防腐処理のために真っ黒なタールで塗り固められています。タールの臭いとべたべたした手触り。
ただ、実際の長い航海を経てきたため、海水と太陽光線で船体がだいぶ痛んでいます。
手前に見える錨は鋳鉄製です。
数百キロあるようで、全く動きませんでした。


船首楼の内側はこんな感じ。
ここは倉庫になっているようで、予備のロープが何種類も吊るしてあります。
船首楼の内側は大変小さく、1人が立てるか立てないかぐらいの高さしかありません。




《船体中央部》


甲板には重い錨を巻き上げるための装置があります。
穴に棒を差し込んでぐるぐるまわし、てこの原理でロープを巻き取っていきます。


甲板は船体の中心から左右舷へと、ゆるいカーブを描いて傾斜がついています。
高波をかぶっても自然に海水が流れ落ちるための工夫で、写真奥に写っている舷側の排水溝から海水は排水されます。
左に見えるのは船倉へのハッチです。ぴったりと蓋を閉めれば海水はシャットアウトできます。



船体中央にはメインマストがあります。
メインマスト上にはトップ(見張り台)があり、その上にトップマストを継ぎ足しています。






後編につづく。。




 
2004
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