大航海な資料集


帆船 軍事 交易 冒険 その他文化史 映画
 

16‐17世紀 日本・スペイン交渉史
パブロ パステルス (1994/04)
大修館書店

バステルスというイエズス会の宣教師が記したフィリピン史のなかの日本に関する記述を抜粋してまとめた本なのですが、訳が上手なのか、極東の島国でアジア人のご機嫌取りに苦労してる宣教師や総督たちの当時の雰囲気が伝わってきて意外と楽しい本です。
ちょっと紹介します。

ーー太閤様が(総督の)ダスマーリャスに贈った刀剣の名称に関しては次の証言が記されている。「アントニオ・ロペス(中国人通訳)は更に言う。日本がコボ師を通じて贈った刀剣はgui-hoc-canと称され、シナの名称であり、我らの言語に訳すと、ーー愛情の表現として貴方に贈る。これは貴方に予を認めさせるために海を渡るものであるーー。このgiあるいはguiは兄弟の間に存在する愛情、又は愛情の表現を意味し、hocは服従を意味すし、canは海の意である。それでこの刀剣"gihocan"はその意味を付しうる。と」

秀吉がフィリピン総督に「義服海」なる刀剣を贈ったってエピソードらしいのですが…こんな名前の日本刀はありません。明らかに名前として変です。なにがどうまちがってこうなっちゃったのでしょうか。もしや中国人通訳のロペスさんの仕業か?

海を越えて贈られた「義兄弟の証」にマニラの総督閣下もさぞや感激したことでしょう。きっと、その美しい刀身をうっとりとみつめながら、「ギーホッカーン」なるオリエンタルで摩訶不思議な響きの言葉…でもまるきりインチキな日本語を心に刻んじゃったんでしょうね。
そんなことを想像すると楽しくなります。


平戸オランダ商館日記 近世外交の確立
永積 洋子 (2000/06)
講談社

スペイン人やポルトガル人から遅れること50年、日本にオランダ人とイギリス人が来航して商館を立て、先行組と入れ替わるように交易ルートを確立していきます。その頃の商館長の日誌を引用しながら、当時の日本人が、いかに外人と付き合っていたのかを明らかにした本です。
オランダ人が徳川幕府と上手くやっていけた最大の理由は、彼らがキリスト教の布教に全くこだわらなかったことです。
イエズス会は、度重なる禁令にもかかわらず、時には宣教師を地下に潜伏させたりして熱心に神の道を説いてまわり、結局、業を煮やした幕府によってポルトガル人は一人残らず追い出されてしまいました。それとは対称的なのが、ときに強欲とも現実主義者とも評されるオランダ商人です。
彼らは島原の乱が起こると率先して幕府側の援軍として参戦、前線に火薬を補給したり、一揆軍の立てこもる城内に大砲を撃ち込んだりと、キリシタン狩りに一役買っています。
このとき島原に派遣されたのはライプ号という帆船で、船長はこの船の艦載砲であった「ゴーテリング砲」なる小型砲(鋳鉄製の5ポンド砲であったらしい)5門を船から降ろして幕府軍陣地に設置し、そこから島原城内に砲撃を加えました。
ただ、その戦果たるや、敵方ではなく味方に砲弾が飛び込むこともしばしばで、しかも5門のうち2門が砲身破裂を起こし砲手がその破片で死んでしまうなど、散々な結果になりました。
で、それきり砲撃は中止されています。
幕府がオランダ人に参戦を促したのは、その戦力を期待してというよりも、オランダ人が商売を信仰に優先させられるかどうかの踏み絵としての意味合いが強かったのかもしれません。


スパイス戦争 大航海時代の冒険者たち
ジャイルズ ミルトン 著
松浦 伶 訳

『スパイス戦争』は、大航海時代後期の東インド諸島を舞台に繰り広げられたオランダ=イギリス間の利権争奪戦の物語です。
莫大な利益を生む香辛料の産地の小島の支配権を巡って各国が武装した艦隊を次々と送り込んでは砦を築き、ライバルの商船隊に対してはもちろんのこと、現地住民へも略奪や虐殺が繰り返されていました。血と金にまみれた大航海時代の真実の姿を伺うことができる良書です。

ただ、英国人の著者は(当たり前といえば当たり前なんだけど)英国人船長たちを英雄的に扱い、対を成すようにオランダ商人をことさら暴虐非道に描いています。
この本も絶版になっちゃいました。


図版 交易のヨーロッパ史 物・人・市場・ルート
A.プレシ/O.フェールターク 著
高橋清徳 編訳

表題の通り、古代から現代までのヨーロッパ商業の物流を図版を交えながら解説した本です。
この本では章ごとに「商業ルート」や「商品」といった異なった角度と視点から事例を紹介していて、塩や小麦といった生活必需品の物流を具体的に掴むことができます。
帆船交易というと、どうしても香辛料や宝石や絹織物といった奢侈品ばかりに目を奪われがちなのですが、実際の船の積荷のほとんどは食品だったり工業品だったりしました。19世紀に至まで地中海諸地方の人々が小麦の供給不足に悩まされ、その不足分を埋め合わせたのはジブラルタル海峡を超えてやってくるイギリスやオランダの大型帆船だった、といったエピソードはなんだか意外な感じがしますよね。
読み物としては…読みづらい本です。

 


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 



  
  
大航海時代Onlineファンサイト
アーケロン交易
since2004.11.06

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送